蟻地獄

Twitterに書ききれない長めの文とか書くよ

VALUユーザー向けクイズ 初級編

Twitterのフォロワー数がそこそこいるたかし君は、最近話題になっているVALUというサービスが気になり登録してみました。最初は胡散臭く感じたのですが、小飼弾さんも入社したということですし、きっと悪いようにはならないでしょう。たかし君はMy VALUの発行を申請し、無事審査を通過しました。

たかし君のVALUは売り始めてから数日間は飛ぶように売れました。投機目的の人や、元からファンだった人が、安いうちに買っておこうと我先にと飛びついたからです。たかし君はVALU上での宣伝活動も積極的に行っていたので、たかし君の才能を見つけた新たなファンもVALUを買ってくれました。たかし君は今後もこの勢いでVALUが売れ続けると信じて気前の良い優待を設定しました。「マンツーマンでブログのコンサルをします!」

しかししばらくすると、たかし君のVALUの売れ行きは落ち始めました。元からファンだった人には一通りVALUが行き渡り、投機目的の人は最初の勢いが落ちたと見て利確し始めたからです。今後は、新たなファンを増やすか、既存ファンに買い増ししてもらわないとVALUは売れません。しかし、たかし君のVALUは最初の数日間でストップ高を繰り返していたため既に結構な高値が付いてしまっており、ファンでもなかなか手が出なくなってしまいました。

たかし君は考えます。今の値段だと買いづらいので、もうちょっと値段を下げて売ってみよう。しかし売り注文を出すと、1人のVALUERから非難の声が上がりました。「私のほうが先にファンになっていち早くVALUを買ったのに、それより遅れてきたファンに安く売るとはなにごとだ。それならなぜ私にその値段で売ってくれなかったんだ。」なるほど、この主張はもっともです。たかし君は現在価格より安値ではVALUを売らないと決めました。

結局そのままたかし君のVALUの価格は下がらず、新規のファンがVALUを買いづらい状態が続きました。たかし君のVALU内での収入はほとんど0になってしまいました。この頃になって、たかし君はようやく気づきます。

「うわっ…私の優待、気前良すぎ…?」

たかし君はVALU内での収入が継続的にあることを前提に優待を設定していたのですが、今の収入はほぼ0です。しかしたかし君は既に結構な数のVALUERを抱えており、彼らに優待を行う責任があります。今さら優待をやめると言えば信用はダダ下がりです。たかし君は端金と引き換えに一生ブログのコンサルを続けることになりました。めでたしめでたし。

ここで問題です。たかし君はどうすれば良かったでしょうか?また、VALUのシステムをどう変えればこのような事態が起こらなくなるでしょうか?

VALUのルールはおかしい

VALUは発行数が決まっており、今のところ増資も分割もできません。これは、エルドラド(黄金郷)伝説に学ぶ、VALUで増資を許すことの愚かさで指摘されている通り、VALUを株式と捉えると至極真っ当な制限です。

では、VALUの増資・分割は今後もできないと仮定して、発行された自分のVALUを全て売り切ってしまった人はその後どうすれば良いでしょうか?まあ実際にはVALUを全て売り切るのはけっこう難しいので、売り切らなくても需要が飽和してVALUがそれ以上売れなくなったタイミングということでも良いです。要は、自分のVALU放出による収入が無くなった時点ということです。

この時点では既に結構な数のVALUERを抱えています。VALUによる収入はこれ以上見込めませんが、今後もVALUERに対して優待を続けていくつもりなのでしょうか?もちろん優待には期限が指定できるので、その期限切れをもって優待を終了とすることもできます。ですが、魅力的な優待でVALUの価格を維持してきた人の場合、優待を終了するとVALUの価格は暴落し、信頼は地に落ちます。各所で指摘されているような、売り逃げ悪徳ユーザーと変わらなくなってしまうわけです。

本物の株式の場合、IPOによって得た資金で事業を行い、その収益を株主に還元しています。事業によって継続的な収入があるため、当然ですが新規公開株を売り切った後も株主への還元を継続できるわけです。じゃあVALUでも新規公開VALUの売却益は事業を起こすために使い、その事業の収益をVALUERに還元するのが健全なんじゃないかと思いますよね。

ところがどっこい、実は「VALUの発行により得た対価を充てて事業を行い、これにより生じた収益又は当該事業にかかる財産をVALUERに分配する行為」は利用規約で明確に禁止されています。本物の株式になっちゃうと法律的にヤバいので、本物の株式のようには運用できないようになっているのです。VALUを売り切ってしまった人は、VALUと無関係の事業で得た収益を投じて優待をボランティアで継続していくか、優待を終了して売り逃げ呼ばわりされるかの2択を迫られるわけです。

このルールのおかしさは、VALUが株式を模しているにも関わらず、本物の株式になってしまうと違法であることに起因しています。VALUがこの先生きのこるためには、株式を模すことをやめ、現状多くのユーザーがそう認識しているように、サービス利用権のマーケットプレイスとしてルールを整備し直すのが健全だと思います。

VALUで自分のWebサービスのソースコードが売れた話

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好きな言葉は不労所得です。

情弱から金をむしり取る悪の集金システムVALUが話題ですね。私も情弱を騙して一山当てようと思い登録してみました。プロフィールに堂々と「VALUのパロディサービスNILUを運営しています」と書いておいたので審査通らないかと思ったんですが、なんか1日でスムーズに通ってしまいました。さすが小川晃平さん、チャレンジングなサービスだけあって柔軟な対応ですね。お礼の気持ちとして小川さんのVALUを1個買っておきました。3万円くらいしました。完全にぼったくりですね。

さて、VALUでは優待を設定できるということなので、「VALUのパロディサービスNILUの全ソースコードを提供します!」という優待にしました。他人のふんどしをぺんぺん草も生えないほど使い尽くしてやろうという魂胆です。

木曜日から売り始めたのですが、今のところ30個ほど売れ、7000円程度の売り上げとなっています。プロが2週間かけて書いたコードの対価として7000円が正当かというと完全無欠に安いのですが、趣味でさくっと作ったサービスのコードに値段が付くというのは不思議な体験です。

こういう、ふわっとしたものを売ることができるプラットフォームって今まであまり無かったんじゃないでしょうか。意識が低い人向けのCAMPFIRE、あるいはnote界のメルカリとして、VALUをサービスの売買プラットフォーム代わりに使うのはなかなか面白いのではないかと思います。

もちろん各所で指摘されている通り、VALUには金融商品取引法が適用されず、相場操縦もインサイダーもやり放題の世紀末無法地帯となっています。使ったお金は基本的に戻って来ないと思っておいたほうが良いです。ですが、お金を使わずに気になる人をウォッチしておくだけでもぬるっとした人がたくさんいるSNSとして楽しめますし、Windows100%を1冊買ったと思って1000円くらい課金しておくと色々な業が見られて面白いのではないかと思います。

ちなみにVALUは平日9時~18時(※7月からは21時まで)しかやってないので、このエントリを見た時点ではメンテ中のことが多いかと思います。そんな人のためにNILUは24時間営業でやっていますので、VALUに登録する前の練習として遊んでみてはいかがでしょうか。 nilu-is.appspot.com

ちなみに本エントリは、著作権者およびコントリビューターによって「現状のまま」提供されており、明示黙示を問わず、商業的な使用可能性、および特定の目的に対する適合性に関する暗黙の保証も含め、またそれに限定されない、いかなる保証もありません。著作権者もコントリビューターも、事由のいかんを問わず、損害発生の原因いかんを問わず、かつ責任の根拠が契約であるか厳格責任であるか(過失その他の)不法行為であるかを問わず、仮にそのような損害が発生する可能性を知らされていたとしても、本エントリの使用によって発生した(代替品または代用サービスの調達、使用の喪失、データの喪失、利益の喪失、業務の中断も含め、またそれに限定されない)直接損害、間接損害、偶発的な損害、特別損害、懲罰的損害、または結果損害について、一切責任を負わないものとします。

VALUのパロディサービス「NILU」を2週間で作るのを支える技術

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NILUは以下のような構成となっています。

バックエンド

  • GAE/Go
  • Gin
  • Cloud Datastore
  • Firebase Authentication

フロントエンド

  • Vue.js
  • Bootstrap4
  • plotly.js

RDBは一切使っておらず、Cloud Datastoreだけで頑張っています。 Cloud Datastoreってトランザクション的なことはできるんですが、求められるテーブル設計がRDBとは大きく違ってCloud Datastore固有のノウハウが必要なので毎回設計に迷います。どっかにノウハウ落ちてないですかね。オライリーから「実践ハイパフォーマンスCloud Datastore」みたいなやつ発売されろ。

という制約を軸にテーブル設計していくんですが、1つのエンティティグループに何でも突っ込むと1秒1回制限に引っかかり、逆にエンティティグループを細かく分けすぎると25個制限のために1回のトランザクションバッチ処理できる量が減りやっぱり1秒1回制限に引っかかるという、如何ともしがたい感じです。

証券取引なんてトランザクションの化け物みたいなものなのでこんなん無理やろって感じなんですが、NILUではどうやっているのかというと、売買注文は板に反映されないリクエストキューに一旦書き込み、定期処理でキューから取り出して順番に処理しています。画面への反映に5分くらいかかるのはこの定期処理待ちです。

こうすると並列処理できないのでスケーラビリティは落ちるんですが、並列処理したところでCloud Datastoreは楽観的ロックで競合しまくる可能性が高いので、処理がシンプルになるこの方法を取りました。1回の買い注文でも注文数量が多いと複数人の売り注文とマッチする場合があり1トランザクションで捌ききれない可能性がありますが、直列に処理しとけばたとえ途中でエラーが起きても単にリトライし続ければ注文順に捌けます。

Firebase Authenticationについては、基本スマホとかSPA用っぽいのでページ遷移のあるWebでの使い方が正しいのかいまいちわかっていません。JWTをcookieに保存するのはなんか違う気がしたのでログインが必要なページは一旦枠のhtmlだけ返した後非同期でユーザー情報を取得してきてるんですが、こういうやり方で良いんですかね。よくわかりません。

フロントエンドは雑に使えるVue.js+伝統と信頼のBootstrapです。フロントエンドについては本業ではノータッチなのでほぼ公式ドキュメントからのコピペとかで設計はテキトーです。恥ずかしいのであまりソース見ないでね。

あとplotly.js便利。VALUさんも見づらい謎チャートやめて素直に既成のチャートライブラリ使った方が良いんじゃないですかね。

GCE(Google Compute Engine)でマストドンを立てる際の最重要事項

Google Compute Engineでは、ポート 25、465、587 のOutboundがデフォルトで塞がれている。 https://cloud.google.com/compute/docs/tutorials/sending-mail/?hl=ja

それもっと早く言ってよぉ~

マストドンのOAuth認証でログインできるWebアプリの作り方

マストドンにpixivアカウントとかでログインするほうじゃなくて、自分が作ったWebアプリにマストドンアカウントでログインする機能を付けるほう。 完成品はこちら。 concept-auction.appspot.com

OAuth2準拠のAPIなのでTwitterログインとかとほぼ同じですが、大きな違いが2つあります。

1. ユーザーにドメインを入力してもらう必要がある

Twitterの場合は https://api.twitter.com/oauth/authorize を決め打ちで叩けばよかったんですが、マストドンインスタンスは自由に立てられるので、ただボタンが押されただけだとどのインスタンスにリクエストを投げればよいか分かりません。なので、ユーザーにマストドンインスタンスドメインを入力してもらう必要があります。 というわけでこんな感じのUIになりました。 f:id:mitomemel:20170422143231j:plain

2. client_id/client_secretはインスタンスごとに必要

新規にWebアプリを作る場合、Twitterだと https://apps.twitter.com/ でアプリ情報を登録してclient_id/client_secretを発行してもらっていましたが、マストドンの場合、どのインスタンスのユーザーが来るか分からないので事前にアプリ情報を登録しておくことができません。 ではどうするのかというと、新しいドメインのユーザーがログインしてきたタイミングでアプリ情報の登録もその場でREST APIを叩いて行います。一度発行したclient_id/client_secretとドメインの組は自サイトのDB等に保存しておきます。 大まかな流れは以下の通りです。

  1. ユーザーはドメインを入力してログインボタンを押す
  2. ログインリクエストを受け取ったWebアプリサーバは、まず自サイトに保存してあるclient_id/client_secretをドメイン文字列をキーに検索する。データが見つからなかった場合は指定されたドメインの /api/v1/apps を叩いてアプリ情報を登録し、発行されたclient_id/client_secretを自サイトのDBに保存後クライアントにclient_idを返す
  3. クライアントは受け取ったclient_idをパラメータに指定してマストドンサーバの /oauth/authorize にアクセスする
  4. ログイン画面が表示されるのでメールアドレス/パスワードを入力する f:id:mitomemel:20170422143251j:plain
  5. アカウントへのアクセス要求画面が表示されるので承認を押す f:id:mitomemel:20170422143311j:plain
  6. アプリ情報登録時に設定したredirect_uriが認証コード付きで叩かれるので、Webアプリサーバからマストドンサーバの /oauth/token を叩いてアクセストークンを受け取る
  7. アクセストークンを用いて /api/v1/accounts/verify_credentials を叩いてユーザー情報を入手

ただ、マストドンサーバ側のDBデータがDocker神の荒ぶりによって消えてしまった場合が厄介で、2.で自サイトに以前に保存されたclient_idをマストドンサーバに投げたらそんなclient_id知らねえよって言われてしまうので、再度アプリ情報を登録するみたいなエラーハンドリングが必要になります。うわあめんどくさい。

ちなみに今回はGAE/Goで作ったんですが、マストドンAPIへのアクセスにはgo-mastodonを使わせていただきました*1golang最高!

*1:go-mastodonはまだパスワード認証しか対応していないので、OAuthを使用するには若干手を入れる必要があります

お一人様マストドンはメモリ512MBだと無理